春の作業 土ごと発酵栽培

我が家の目の前には、関西100名山の一つ 額井岳(ぬかいだけ) 海抜812.3メートルがあります。
大和高原では別名大和富士と呼ばれています。
今日の田起こしの最中、見上げれば山はこぶしの花で真っ白になっています。
亡くなった祖父は山が白くなればその年は雨が少なく、暑い日が続くと口癖のように話していました。
確かに雪が降ったかと思えるくらい白くなった年は、炎天、酷暑が続いたことを覚えています。さて、今年はどんな夏が来るのでしょう。
私の米作りには、こだわりがあります。コシヒカリを育てていますが、食味がとても美味しい反面、背丈が高くて稲が倒伏する弱さをもっています。
コケヒカリなどと嘆いて別名で言う人もいるくらいです。数年前には台風の雨と風で一晩で青畳のように一面真っ平らになってしまいました。
コシヒカリを倒伏させないためにはどうすれば良いか、あちこちに師を求めました。
辿り着いたのが乳酸菌(ラクトバチルス)の力で足腰の強い稲を作る方法でした。稲の軸は穂が実る穂先までに五つの節があります。
その一番下の第一節間を短くするのです。春の田植え時には肥料を与えないで、無施肥で土中の微量要素だけで育てます。肥料が無いと早苗は根を張って、自力で栄養を探しに行きます。
試しに田植えから一ヶ月が過ぎた頃、根を見てみました。驚きです。今までの作風とは比べものにならないくらい根が張っていました。根の伸びている広さも量も10倍はあったでしょうか。
根が張れば、茎が強く太くなります。背丈が低い分、倒れにくくなります。
自分の力で、足腰の強い稲を作る、それが土を変えた乳酸菌の威力と成果でした。
乳酸菌は土中の有機質を完全分解して、稲が育つためのたくさんの栄養素と必要な微量要素をふんだんに生み出してくれています。
私はこの作り方を「土ごと発酵栽培」と呼んでいます。